「助動詞can」を使いこなそう!④(「申し出のcan」について)


 「助動詞can」は「(能力的に)できる」という意味だけでなく、複数の語義、用法があります。それらを理解し、使いこなせるようになれば、英会話や英作文など、アウトプットの場面において、英語表現の幅が大きく広がります。

 これまで、当ブログでは、「可能性のcan」、「許可のcan」、「依頼のcan」について述べてきました。そして、今日扱うのは「申し出のcan」です。「申し出」とは、つまり「~しましょうか?」といった表現のことです。

 例えば、ある高齢の女性が、荷物が重くて運ぶのに苦労しているとします。そんな時、「お荷物、運ぶのをお手伝いしましょうか?」と申し出る。これを英語では、「Can I help you carry your bag?」と言います。

 ここでの「can」は「できる」ではなく、「~しましょうか?」という意味です。ちなみに、この文の動詞helpは、後に「O+V(原形)」を続けます。「you」がO(目的語)で、その後に動詞の原形「carry」が続いています。意味は「OがVするのを手伝う」です。

 では、もう一つ例を。会社の向かいのカフェがあり、そこへコーヒーを買いに行くとします。その際、同僚の分も一緒に買ってきてあげようかなと思った時のこと。「今から向かいのカフェに行くんだけど、何か買ってこようか?」と同僚に申し出ます。

 さて、これを英語で何と言うか。もちろん、「申し出のcan」を使って文を作ります。まず、「今から向かいのカフェに行くんだけど」を作ってみましょう。これは「I’m going to the café across the street.」と言います。

 「I’m going to N.」は「(今から)N(場所)へ行く(ところだ)」という意味です。現在進行形ですが、近未来の確定的な予定を表します。更に、「向かいのカフェ」は「the café across the street」です。acrossは「~の向かい」という意味の前置詞です。

 そして、「何か買ってこようか?」という部分。ここが「申し出」の核心部分です。まず、この時の「買う」は「buy」でもいいのですが、口語表現ではよく「get」を用います。「get+O1+O2」で、「O1(人)にO2(もの)を買ってくる」という意味です。

 このケースの「O1」は、相手を表す目的格の代名詞「you」です。そして、「O2」は「何か」という意味の名詞「something」です。「get you something」で「(あなたに)何かを買ってくる」という意味になります。

 そして、文頭に「申し出のcan」を置き、「Can I get you something?」とします。前半部分とつなげると、「I’m going to the café across the street. Can I get you something?」となります。

 尚、後半は疑問文なので、「something」の代わりに「anything」とすることもできますが、ニュアンスが異なります。「something」は、相手が何かを欲しがっているであろうという思いから、何かを買ってくることが前提となっています。

 一方、「anything」は、相手が何かを欲しがっているかどうかがわからない、という場合に用います。ですので、「something」の方が、相手に何かを買ってきてあげることに、前向きな印象を与えます。

 「I’m going to the café across the street. Can I get you something?」と申し出て、相手が「うん。じゃあ、カプチーノを買ってきてくれる?」と返す。この返答を英語にすると、「Yes. Then, can you get me a cappuccino, please?」となります。

 この返答で用いた「can」は、「~してくれる?」という意味の「依頼のcan」です。これに対して、「もちろん、いいよ」と答える。これを英語にすると、「Sure, I can.」となります。尚、このケースの「I can」は省略可能です。この会話を以下にまとめます。

A: I’m going to the café across the street. Can I get you something?

B: Yes. Then, can you get me a cappuccino, please?

A: Sure, I can.

A: 今から向かいのカフェに行くんだけど、何か買ってこようか?

B: うん。じゃあ、カプチーノを買ってきてくれる?

A: もちろん、いいよ。

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