「助動詞can」を使いこなそう!③(「依頼のcan」について)


 「can」=「できる」のような「一単語一訳語式」は、教える側の都合によるものだと、昨日の投稿『「助動詞can」を使いこなそう!②(「許可のcan」について)』で述べました。

 初めて英語を習う中学生(または小学生)が、初めて目にする英単語の意味を知るには、それが日本語のどの単語に相当するのかがわかると覚えやすいのです。例えば、「I」=「私」、「am」=「です」、「a student」=「学生」といった具合です。

 ですので、「助動詞can」を教える時、中学校の英語の先生は、「can」=「できる」と教えます。確かに、「can」の第一義は「できる」(能力)であり、また最も使用頻度が高い語義であるはずですから、中学校の英語の先生の教え方としては、間違ってはいません。

 ただ、必ずしも「一単語一訳語」ではないということも、折に触れ、生徒に伝えておく必要はあると思います。そこで、できれば生徒に英和辞典を引かせて、他の語義や用法にも触れる機会を与えたいところです。

 もし、そういった機会が、学生時分になかったという方は、今からでも遅くはありません。ぜひ、英和辞典を引いてみて下さい。「助動詞can」を英和辞典で調べると、「できる」の他、多くの語義・用法が載っているはずです。

 当ブログでは、一昨日は「可能性のcan」、昨日は「許可のcan」を採り上げました。そして今日採り上げるのは、「依頼のcan」です。「依頼」とはつまり、「~してくれませんか?」というものです。

 例えば、家族で食卓を囲んで、夕食を摂っているとします。その際、テーブルの上の自分の手の届かないところに塩があり、それを取りたいとします。そこで、その塩に一番近いところに座っている人に、「お塩とってくれない?」と頼むとします。

 これを、英語で何と言うか?「塩をとる」というのは、つまり「私に塩を回す(渡す)」ということです。これを英語に直すと「pass me the salt」です。そして、主語は相手ですから「you」です。よって、「Can you pass me the salt?」となります。

 最後に「please」を付け、「Can you pass me the salt, please?」とすると、より丁寧な表現になります。「Can you V, please?」(Vしてくれませんか?)という定型の表現を覚えておくと便利です。日常会話でよく使います。

 例えば、「ちょっと待ってくれませんか?」なら「Can you wait a little (for me), please?」と言います。この他、「これ、手伝ってくれませんか?」なら「Can you help me with this, please?」となります。

 では、最後に、「依頼のcan」を使った一文を作ってみましょう。両手に荷物を持っていて、手が塞がっている状態だとします。そこで、妻(または夫)に「(私の代わりに)ドアを開けてくれない?」と頼むとします。これを英語で何と言うか?

 まず、「ドアを開ける」は「open the door」です。「私の代わりに」は「for me」です。そして、「~してくれない?」は「Can you V, please?」です。よって、これらをつなぎ合わせると、「Can you open the door for me, please?」となります。

 先程、文末に「please」をつけると丁寧な表現になると言いましたが、更に丁寧な表現にするには、「Can」を「Could」に変えることです。ですので、妻や夫のような身内ではなく、他人に先の依頼をするならば、「Could you open the door for me, please?」とします。

 家族や友人、職場の同僚に依頼する時は「Can you V(, please)?」、他人や上司、目上の人に依頼する時は「Could you V, please?」と、使い分けるといいでしょう。

 尚、「許可のcan」の時に、「May I V?」にすると、より丁寧になると言いましたが、「May you V(, please)?」という言い方はしません。

 如何でしたか?「許可のcan」が持つニュアンスと使い方、ご理解頂けましたか?「オンライン英語教室のUB English」の「基本英文法」では、「助動詞can」の多様な使い方など、一つの項目を深く掘り下げて、きちんとマスターして頂けるよう、授業を展開しています。

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