「助動詞can」を使いこなそう!②(「許可のcan」について)


 中学英語では、「can」=「できる」というように、「一単語一訳語式」に教わることが多いですよね。これ、確かに教える側にとっては、とても都合の良い教え方なのですが、学ぶ側にとっては、必ずしも良い学び方とは言えません。

 と言うのも、多くの英単語は、語義が一つではないからです。たいてい、複数の語義や用法があります。「一単語一訳語式」で習っていると、習ったのと違う語義で出てきた時に、戸惑ってしまうのです。

 「助動詞can」は、まさに「一単語一訳語式」が通用しない語です。「can」には「能力」を意味する「できる」の他にも、色んな意味や用法があります。昨日は「可能性のcan」について述べましたが、今日は「許可のcan」を論じて参ります。

 「許可のcan」とは、「~してもいい」という意味です。例えば、「You can sit here if you like.」という文。これは、「よかったら、ここに座ってもらってもいいですよ」という意味です。

 「~してもいい」という「許可」を表す助動詞としては、「may」を想起する人が多いかもしれません。確かに、「助動詞may」は、「~してもいい」という「許可」の意味で使うことがあります。

 では、「can」と「may」は、どう違うのか。例えば、先の例文を使って比べてみましょう。①You can sit here.

②You may sit here.

 2つとも訳は「ここに座ってもいいですよ」です。ただ、ニュアンスが違います。①は、「今、ここは空いているので、誰が座ってもいい」というシチュエーションが想像されます。一方、②は「ここに座りたまえ」と、話者の権限で、相手に許可を与えている状況です。

 つまり、「can」は「状況がそれを許す」という意味合いであるのに対し、「may」は「話者(の権威)がそれを許す」という意味合いだということです。ですので、平たく言えば、「may」は、やや「上から目線」だということです。

 では、「許可」を求める際の疑問文の場合はどうか。以下に2つの例文を挙げます。

①Can I use your pen?

②May I use your pen?

 この2つの文、訳はいずれも、「あなたのペンを使ってもいいですか?」です。但し、丁寧さの度合いが異なります。②の「May I~?」方が、より丁寧です。店員がお客に対して、「May I help you?」(いらっしゃいませ)と言いますが、あれも丁寧な表現ですね。

 肯定の「may」が、「(話者の権限で)許可する」という意味合いであるために、疑問文でも相手の権限での許しを得る、といった意味合いになります。その分、「can」よりも「may」の方が丁寧(正確には、よりへりくだった言い方)になります。

 このように、「can」と「may」では、丁寧の度合いに差があることから、場面に応じた適切な使い分けが必要です。例えば、相手が目上の人やお客様である場合は「May I~?」、家族や友人、職場の同僚が相手なら「Can I ~?」、といった具合です。

 では、最後に、例文を作ってみましょう。以下の日本語文を英語に訳してみて下さい。

「ここなら駐車してもいいですよ」

(*状況:周囲に「駐車禁止」などの標識や看板がなく、交通量も少ない場所)

 まず、「駐車する」を英語で何と言うか。「駐車場」をカタカナ語では「パーキング」といいますよね。「parking」は「名詞」ですが、この動詞形は「park」(~を駐車する)です。ここでは、相手の車を止めるという意味なので、「park your car」とします。

 次に、「ここ」は「here」という副詞を使います。「park your car here」で「ここに車をとめる」です。そして、「車をとめてもいい状況」とあるので、「状況が許す」という意味の「許可のcan」を用います。また、主語は相手なので「You」です。

 これらを使って文にしますと、「You can park your car here.」となります。ここでもし「You may park your car here.」と言うと、「話者の権限で相手に駐車の許可を与えている」といったニュアンスになります。

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