「助動詞can」を使いこなそう!⑤(「命令のcan」について)


 「助動詞can」=「できる」と思い込むのはもったいない。canはもっと多様な語義・用法があり、それらを使いこなせるようになると、英会話での表現の幅がもっと広がる。

 そういった思いから、当ブログでは、ここ数日、「助動詞can」が持つ多様な使い方について、述べています。

 「能力のcan」以外に、「可能性のcan」(Vし得る)、「許可のcan」(Vしてもいい)、「依頼のcan」(Vしてくれませんか?)、「申し出のcan」(Vしましょうか?)があると。

 そして、今日はご案内するのは「命令のcan」です。「命令」というと「Vしなければならない」の「must」じゃないの?と思う方も多いでしょう。

 確かに、「助動詞must」には、義務や命令の意味合いがあります。しかし、「can」も軽い命令の意味で使うことができます。

 例えば、残業して、随分遅い時間になっているとします。本来であれば、もう帰らなくてはならない時間です。

 そんな時、上司があなたに「You can go now.」と言うかもしれません。この「can」には、どんなニュアンスが含まれるのか。

 一つは「許可のcan」ととらえることができます。つまり、「もう帰っていいよ」という意味です。

 ただ、これは、上司があなたに残業を求めた場合に用いる表現です。そうではなく、あなたが自主的に残業していて、時間が遅くなってしまっている場合はどうか。

 この時に、上司が発した「You can go now.」は、「もう帰りなさい」という意味です。ここでの「can」は「must」ほど強くはないものの、「軽い命令調」です。

 上司からすると、部下が頑張って働いてくれているので、頭ごなしに「帰れ!」とは言いにくい。かと言って、就業規則の観点から、上司として部下を帰らせる必要がある。

 こういった状況で発するのが、「You can go now.」です。ですので、上司にこう言われた時は、「Sure. I will.」(わかりました、そうします)と言って、素直に従うべきでしょう。

 ここで、「許可のcan」だと思って、「もう帰ってもいいよ」という意味で受け取ってしまうと、会話に齟齬が生じるかもしれません。

 例えば、「I don’t mind working overtime.」(残業することは気になりませんよ)などと言って、残業を続けようとするかもしれません。

 こうなると、上司は命令の段階を上げざるを得ません。「Well, but it’s already 8, so you must go now.」(う~ん、でももう8時だから、帰ってもらわなきゃいけないんだよ)と。

 ですので、できれば、上司に「must」という強い表現を使わせる前に、「You can go now.」の時点で、それに同意し、帰るようにしたいところです。

 では、もう一つ例を。夜、親子で一緒にテレビ番組を見て、楽しんでいるとします。でも、時刻はもう11時。子供にとっては寝る時間です。

 こんな時、いきなり強い命令調で「寝なさい!」というと、折角の楽しい雰囲気が台無しになってしまいます。

 そこで、やんわりと「もう寝なさい」と言う。これを英語で何と言うか。「命令のcan」を使って言うとすればどうなるでしょうか?

 まず「寝る」を英語では、「go to bed」と言います。そして、「もう」という副詞は「now」で表します。更に、主語は相手ですから「You」です。

 これらを使って一文にしますと、「You can go to bed now.」となります。このように言うことで、「軽い命令」の表現ができます。

 この時、子供が「No. I want to keep watching it.」(いや、テレビを見続けたい)とごねるなら、「can」の代わりに「must」を使って、もう少し強い口調に変えることができます。

 例えば、「No, honey. It’s already 11, so you must go to bed now.」(ダ~メ。もう11時だから、寝なさい)と。

 このように、同じ「命令」でも、状況に応じて、「can」と「must」をうまく使い分けられるといいですね。

 「オンライン英語教室のUB English」の「基本英文法」では、「助動詞can」を始め、それぞれの語が持つ微妙なニュアンスの違いについて、学ぶことができます。

 それにより、場面や状況に応じた適切な英語表現ができるようになります。ご興味ある方、まずはお気軽にお問合せ下さい。

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