「助動詞can」を使いこなそう!(「可能性のcan」について)


 「My elder brother, Akira, can swim very well.」。これは、中学英語で習う文で、意味は「私の兄のアキラは、とても上手に泳ぐことができる」です。

 この例文のように、いわゆる「学校英語」では、最初、「助動詞can」は「~できる」という意味で習います。

 確かに、「助動詞can」の第一義は「~できる」なのですが、実はそれ以外の語義もあり、非常に用途の広い助動詞です。

 先に挙げた例文での「助動詞can」は、能力的に「できる」という意味です。この他、可能性的に「できる」という意味も持ちます。

 例えば、I think he can come to the party tonight. という文。文意は、「彼は今夜のパーティに来ることができると、私は思います」です。

 ここでの「来ることができる」というのは、つまり、時間的に身が空けられる、という意味です。これは「能力」ではなく「可能(性)」という意味での「できる」です。

 同じく、We are going to have a party tonight. Can you come?「私たちは今夜パーティを開くのですが、あなたは来れますか?」の「can」も「可能性のcan」です。

 このように、同じ「できる」でも、能力的な意味での「できる」と、可能性を意味する「できる」の2通りがあります。「助動詞can」は、その両方の役割を果たします。

 「可能性のcan」は、「できる」だけでなく「し得る」(=~する可能性がある)という訳でも使えます。

 例えば、Smoking can cause lung cancer. という文。これは、「喫煙は肺がんを引き起こす可能性がある」という意味です。

 この「can」を「できる」と訳すと、やや不自然な日本語になるので、「~する可能性がある」とか「~する恐れがある」と訳すべきでしょう。

 この「可能性のcan」は、否定文でも使えます。例えば、若い人たちがよく使う「ありえない」という表現。これを英語にすると、「It cannot be true.」となります。

 この文を直訳すると、「それは真実にはなり得ない」です。つまり、「ありえない」という意味です。

 では、最後に一つ、「可能性のcan」の練習をしてみましょう。以下の日本語文を英語に訳してみて下さい。その際、必ず「can」を使うこと。

 (和文英訳問題)

「タクシーに乗れば、10分でそこへ行けます」。

 これは、接続詞を使って、2つの節に分けることができます。まず、前半の「タクシーに乗れば」を英文にしてみましょう。

 「~すれば」ということなので、接続詞の「If」を使って英文にします。「タクシーに乗る」を英語では「take a taxi」と言います。

 ですので、「If you take a taxi」が前半の節です。そして、後半の節の「行けます」は、「行くことができる」という意味なので、ここで「助動詞can」を用います。

 また、ここでの「行く」は「辿り着く」という意味なので、「go」ではなく「get」を使います。「そこへ」は「there」という副詞を使って表します。

 そして、「10分で」を、英語でどう言うか。ここでの「で」は「~後」という意味なので、前置詞「in」を使います。つまり、「10分で」は「in ten minutes」となります。

 ですので、後半は「you can get there in ten minutes」となります。そして、2つの節をつなげて1つの文にすると、If you take a taxi, you can get there in ten minutes. です。

 この「can」は、「タクシーに乗る」という条件であれば「できる」ということなので、「能力」ではなく「可能性」を意味します。

 このように、同じ「できる」でも、「泳げる」(can swim)や「ピアノを弾ける」(can play the piano)といった「能力」だけでなく、「可能性」という意味合いもあるということです。

 「助動詞can」が持つ語義やニュアンスを深く理解し、使いこなせるようになれば、英語での表現力の幅はグンと広がります。

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