英語教師のための「例文出し」トレーニング⑤(不定詞の副詞的用法)


 授業で英文法を教える際、ターゲットとする文法項目の定義だけを教えるのではなく、明確な状況設定の下、わかりやすい例文を出してあげると、生徒は理解しやすくなります。

 状況設定と例文をスッと出す。そのためのtipを今週、当ブログでご紹介しております。今日のテーマは「不定詞の副詞的用法」です。

 そもそも「不定詞の副詞的用法」って何なのか。定義としては「ある動作の目的を表すもの」です。

 ただ、これだけだと、イメージしにくいですよね。そこで、以下に例を挙げます。

(状況設定)

家での夫婦の会話。出かけようとしている妻を見て、夫が妻に話しかけているところ。

(例文)

A: Are you going out, honey?

B: Yes. I’m going to the market to buy some vegetables.

(訳文)

A: 出かけるの?

B: うん。野菜を買いに市場へ行ってくるわ。

 どうでしょう?「不定詞の副詞的用法」を示すだけなら、Bの文だけでも事足ります。しかし、このように、状況設定と会話文をセットで出した方が、「不定詞の副詞的用法」の使用場面を、よりイメージしやすいのではないでしょうか。

 そもそも、何故、我々英語教師は、生徒に文法を教えるのか。テストで点数を取らせるため?―はい、確かにそれもそうでしょう。

 しかし、ゴールはもう少し先にあって、やはり「生徒が実際に英語を使えるようになること」ではないでしょうか。

 我々、日本人英語教師は、そのためのお手伝いをする。その一環として、英文法を指導する。これが、生徒に文法を教える真の目的ではないでしょうか。

 だからこそ、単に定義や型を授けるだけでなく、実際に使用する場面をできるだけイメージしやすくする。

 そのために、明確な状況設定と例文(できれば会話文)を出してあげる。その上で、型を教える。そうすると、生徒は「なるほど、そういうことか!」と納得しやすいはずです。

 その上で、型を教える。「不定詞の副詞的用法」の型は、以下の通りです。

<「不定詞の副詞的用法」の型>

S V1 (N) to V2.「SはV2するために(Nを)V1する」

 「V2するために」の箇所が「不定詞の副詞的用法」です。

 先の例文で言うと、訳文Bの「(野菜を)買いに(=買うために)」の箇所、つまりto buy (some vegetables)の箇所が「不定詞の副詞的用法」に当たります。

 この後、「不定詞の副詞的用法」を定着させるために、多くの練習問題を用意し、解かせる。そうすれば、生徒は、ターゲットとする文法項目を習熟しやすいはずです。

<ターゲットとする文法項目を習熟させるための4ステップ>

①定義を教える

②状況設定&例文(会話文)を示す

③型を教える

④練習(演習)問題を与える

 このうち、日本人英語教師にとって最も大事な仕事は、②です。つまり、授業の中で、如何に気の利いた例文を出せるか、です。これには、相応のトレーニングが必要です。

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