英文法の指導で文法用語を使うべきか?(自動詞&他動詞について)


 『「受動態」を教える前に抑えておくべきこととは?』の項で、動詞を4つのカテゴリーに分けることを提案しました。その際、自動詞を「A群」、他動詞を「B群」に、それぞれ分けるという話をしました。

 この時、A群、B群に分ける代わりに、「自動詞」、「他動詞」というtermを使うのはどうか。要するに、文法用語を使うべきかどうか、という点です。これについては、英語教師の間では、常に議論になるところです。

 この件について、私の基本的なスタンスとしては、「文法用語は適宜、使用すべき」というものです。何故なら、そもそも文法用語は、抽象的な概念をひとまとめにするもので、教師、生徒双方が共通認識を得やすくするものだからです。

 例えば、「前置詞」という言葉もterm(文法用語)の一つではありますが、これを使わないとなると、結構面倒だと思います。いちいち、『inとかonのような単語で、日本語の「~の中に」とか、「~の上に」に相当する語句』などと説明しなくてはなりません。

 こういった面倒を避けるために、「前置詞」という用語を用いて、それらをひとまとめにしているのです。ですので、教師、生徒双方の間で、「inやonは前置詞と呼ぶ」という共通認識が一旦得られれば、それを使って説明する方が、使わないよりも余程楽なはずです。

 では、何故、いきなり「自動詞」、「他動詞」とはせずに、「A群」、「B群」に分けることを提案したかと言いますと、カテゴリー分けの段階では、用語を理解させることよりも、動詞の違いを識別させることを優先させたいからです。

 live「住む」、go「行く」、walk「歩く」などのグループと、read「~を読む」、write「~を書く」、eat「~を食べる」などのグループとに分ける。そして、後者のグループには、必ず「~を」という助詞が付いている。

 まずは、こうした「違い」を生徒に識別させることが、動詞をカテゴリー分けするポイントです。そして、『そう、こっちのグループの動詞には、みんな「~を」という助詞が付いてるよね』と。

 その上で、『この「~を」っていう助詞が付く動詞は「他動詞」って呼ぶんだよ』と説明をしてあげる。一方、『「~を」が付かない動詞は「自動詞」って呼ぶんだよ』と。ここで初めてtermを持ち出す方が、覚えやすいのではないかと思います。

 その上で、「受動態(受け身)の文を作れるのは、他動詞の方だよ」と説明してあげる。その際、先生は、「B群」の動詞を指し棒などで触れながら説明すると、視覚的な助けとなり、生徒はより理解しやすくなるでしょう。

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