授業で英語の歌を聞かせるのは有効か?


 英語の先生から「授業で英語の歌を聞かせたいと思うのですけど、先生はどう思いますか?」と聞かれることがしばしばあります。これについての私の見解は「賛同しかねる」というものです。理由は大きく3つあります。本項では、その理由を論じて参ります。

 第一に、英語の歌(特に最近流行りの歌)は、歌詞が難しいものが多く、あまり実用的でないという点です。また、曲に合わせて歌詞を作っていることもあり、言葉としてやや不自然な表現も多く見られます。それに、正しい発音がわかり辛いという難点もあります。

 実用性という点で言えば、歌よりも普通の会話やアナウンス、ナレーションなどを聞かせた方が有効でしょう。特に、小中学生や英語の初級者には、ESL用に作られた教材を使用する方が無難です。内容や速度が調節されていて、生徒の負担が軽く済むからです。

 第二に、歌を聞く時、どうしてもメロディーに意識が向きやすく、果たして言葉を覚えるのかが疑問だという点です。英語の授業は、あくまでも言葉の授業であるべきで、曲やメロディーを覚えるなら、それは「英語」ではなく「音楽」の授業になってしまいます。

 第三に、歌は好みが分かれるという点です。先生にとっては「良い歌」であっても、生徒にとっては「ダサい歌」かもしれません。自分の好みでない歌を聞かされ、なおかつ声を出して歌うよう指示されると、生徒にとっては、苦痛でしかありません。

 授業で英語の歌を聞かせたいと考える英語の先生は、たいてい、先生ご自身が、英語の歌が好きで、また、よく聞いている方です。加えて、英語学習者として、洋楽(特に英語の歌)を聞き、歌詞やフレーズを覚えた経験を持っている方です。

 ですので、英語の歌を聞くことが、英語力向上に全く役立たないと申すつもりはございません。ただ、それは、あくまでも個人の趣味の領域であって、授業でやるべきことではないように思います。

 もっとも、一つの英語学習法として、授業で生徒に提案するのはありだと思います。例えば、英語の歌を聞いて、歌詞やフレーズをたくさん覚えた経験をお持ちの先生であれば、その学習方法を授業で紹介する。これならOKです。

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