英検1級単語の覚え方④(語幹「-vert」を持つ単語)


 最近、テレビを見ていると、政治家や経済の評論家などを中心に、やたらと新しい「カタカナ」を使いたがる人が多いなと感じます。

 つい先日も、話題は忘れましたが、あるコメンテーターが、「ダイバーシティ」が云々と言っていました。

 ダイバーシティ(=diversity)。恐らく「多様性」という意味で使っていたのだと思います。「これ、視聴者は理解できているのかな?」と疑問に思いながら、聞いていました。

 さて、このdiversity。一応、英検1級対象語彙です。ですので、英検1級をお受けになる方は、覚えておきたいところです。

 このdiversityの語の成り立ちを見ますと、接頭辞「di-」は「分離」(=away)を意味し、語幹「vers」は「転換する」(=turn)、接尾辞「-ity」は「名詞」を作る語尾です。

 イメージとしては、一本の道から枝分かれしている感じです。そして、それぞれが分離している。よって、diversityは「多様性」、「相違(点)」といった意味を持ちます。

 diversityは名詞ですが、この動詞形diversify「~を多様化する」も、英検1級対象語彙なので、併せて覚えておきましょう。

 また、これらの関連語で、diversionという名詞があります。意味は「(進路・目的などから)脇へそれること」、つまりは「転換」です。また、「気晴らし」という意味もあります。

 diversity、diversify、diversion。これらの元となっているのが、divert(動詞)です。意味は、「~を脇へそらす」、「~を方向転換する」です。

 語の成り立ちは、やはり、接頭辞「di-」(=away)、語幹「-vert」(=turn)です。今の語義が「~を方向転換する」ですから、原義と変わりませんね。

 また、この形容詞形のdiverse「~とは(はっきりと)異なった」、「別種の」、「種種の」も、英検1級対象語彙ですので、併せて覚えておきましょう。

 divert, diverse, diversity, diversify, diversion。これらの単語の語幹は、いずれも「-vert」です。

 この「-vert」を語幹に持つ単語は、他にもあります。例えば、英検1級対象語彙ではありませんが、reverseという単語。これは、「~を覆す、翻す」という意味の動詞です。

 このreverseの元となっているのが、revert(自動詞)です。意味は、「(元の状態に)戻る」です。このrevertは、英検1級対象語彙です。

 revertの語の成り立ちを見ますと、接頭辞の「re-」は「戻る」(=back)、語幹の「-vert」は「返る」(=turn)です。「元の位置に立ち返る」→「(元に)戻る」です。

 revert、reverseの関連語で、reversalという単語があります。意味は「反転、逆転、(判決の)破棄」です。これも、英検1級対象語彙ですので、覚えておきましょう。

 reversalの語の成り立ちは、接頭辞「re-」(=back)、語幹「-vert」(=turn)、接尾辞「-al」(名詞)です。

 この他、「インバーターエアコン」(=inverter air-conditioner)というカタカナを聞いたこと、ありませんか?

 「インバーターエアコン」の「インバーター」(=inverter)とは、直流電力を交流電力に変換する装置のことで、「逆転換装置」とも呼ばれます。

 このinverterの動詞は、invertです。意味は、「~を逆さまにする」です。接頭辞のinは、ここでは「against」(逆)の意味を持ちます。

 接頭辞「in-」(=against)、語幹「-vert」(=turn)。まさに「~を逆さまにする」ですね。このinvertも、英検1級対象語彙ですので、覚えておきましょう。

 この他、語幹「-vert」を持つ英検1級対象語彙では、avertという他動詞があります。意味は、「(事故など)を避ける」、「(目)をそらす」です。

 avertの語の成り立ちは、接頭辞「a-」(=away)、語幹「-vert」(=turn)です。これも、今の語義と原義が、ほぼ同じですね。

 このavertから派生した語で、averseという形容詞があります。意味は「~を嫌って、~に反対して」です。この名詞形aversionは「嫌悪、反感、忌避」という意味を持ちます。

 averse「~を嫌って」、aversion「嫌悪」、いずれも原義であるturn away「そらす、遠ざける」から来ています。

 相手から目をそらしたり、相手を遠ざけたりする。これって、その相手が嫌いな証拠ですよね。そういったイメージで覚えると、単語の意味も覚えやすいのではないでしょうか。

 では以下に、今日取り上げた語幹「-vert」を持つ英検1級対象語彙をまとめます。

①diversity「多様性」:di(away)+vers(turn)+ity(名詞)

②diversify「~を多様化する」:di(away)+vers(turn)+ify(動詞)

③diversion「転換」:di(away)+vers(turn)+ion(名詞)

④divert「~を方向転換する」:di(away)+vert(turn)

⑤diverse「~とは異なった」:di(away)+verse(turn)

⑥revert「(元に)戻る」:re(back)+vert(turn)

⑦reversal「反転、逆転」:re(back)+vers(turn)+al(名詞)

⑧invert「~を逆さまにする」:in(against)vert(turn)

⑨avert「~を避ける、そらす」:a(away)+vert(turn)

⑩averse「~を嫌って」:a(away)+verse(turn)

⑪aversion「嫌悪、反感」:a(away)+vers(turn)+ion(名詞)

 こうして見ると、やはり「向き」に関するものばかりですね。様々な方を向いたり、逆を向いたり、そっぽを向いたり。やはり、語幹の「-vert」(=turn)が効いてますね。

 今日取り上げた語幹「-vert」のように、同じ語幹を持つ単語をまとめて覚えると、語彙の数を増やしやすいでしょう。

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