英文法の指導方法


 コミュニカティブな授業においては、主にネイティブ講師が登用されるのに対して、日本人英語講師に求められるのは、やはり「英文法の指導」です。本項では、英文法の指導方法について、論じてみたいと思います。

 英文法の指導において、よく議論されるのが、ターゲットとする文法項目を「明示的」(explicitly)に教えるか、それとも「暗示的」(implicitly)に教えるか、という点です。英語の教科書の多くは後者です。暗示的な文法指導とは、予め「今日は不定詞をやります!」とするのではなく、英会話の中に不定詞を使った文を幾つか含めておく、というものです。

 この方法の長所は、状況設定が明確であるという点です。例えば、A: Summer vacation is coming up soon. B: Yeah. Do you have any plans? A: I’m going to Hokkaido to visit my grandmother. How about you? B: I want to see some fireworks this summer.という具合。

 この会話文の冒頭で、時期が夏休みに入る直前の学期末だとわかります。つまり、状況設定が明確になっているということです。加えて、不定詞が2箇所で用いられています。これは暗に「今日のターゲットは不定詞ですよ」と示すものです。

 一方、英文法の「明示的」な指導方法は、こういった状況設定を一切せず、「今日は不定詞をやります!」と明示的に述べます。そして「不定詞には名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法の3つがあります。それぞれの役割は・・・」と文法の解説を行い、練習問題を解かせます。この明示的指導は、「型」の定着には、ある程度、有効に機能します。ただ、状況設定がないので、使う場面をイメージしにくいという短所があります。

 では、「暗示的指導」と「明示的指導」のどちらが良いのか?これは、状況によって異なるため、一概にどちらか一方が良くて、もう一方が良くないということは言えませんが、私の考える理想は、両方を上手にミックスさせる方法ではないかと考えます。

 具体的には、最初は「暗示的指導」で教え、後刻「明示的指導」で教えるというものです。つまり、最初は上で示したような会話文を学ばせた後に、ターゲットとする文法項目を明示した上で解説を行い、最後にターゲット項目に関する問題を解かせる、というものです。

 英文法をどうやって教えるべきなのか。悩む英語教員の先生は少なくありません。本項で示した案は、あくまでも一例であり、色んな教え方があります。「オンライン英語教室のUB English」が開講する「Teacher trainingコース」では、先生個々の状況に合わせて、最適な英文法の指導方法を一緒に模索していきます。ご興味ある英語教員の先生方、まずはお気軽にお問合せください。