英語教師Q&A④(大人と子供とで教え方や話し方を変えるべきか?)


 今週、当ブログでは、現役英語教師の先生方、および英語教師になりたいという方からお寄せ頂いたご質問への回答を載せております。

Q: 近所の学習塾で、中学生を相手に英語を教えています。将来は独立して、色んな人に英語を教えられるようになりたいと思っています。先生は小学生から高齢者まで幅広く英語を教えているそうですが、大人と子供とで教え方や話し方を変えたりしていますか?

A: 結論から申しますと、特に意識して変えてはいません。これには、色んな考え方があろうかと思いますが、大人も子供も指導法の基本は同じだと私は考えています。

 ただ、例を挙げる時などは、その内容を、大人と子供とで変えることはあります。大人と子供とで身近に感じる話題が異なるからです。

 話し方については、大人と子供とで変える先生もいると思いますが、私は、基本的には同じです。大人はもちろん、子供であっても、基本的には、敬語(丁寧語)です。

 子供に対して敬語で話すと、ややよそよそしい感じがして、冷たい印象を与える可能性があることは事実です。

 しかし、それぐらいの方が、良い意味での緊張感を保ちやすいというプラスの面もあるように思います。

 私は、生徒との「距離感」というものを常に意識しています。「程よい距離感」を維持すること。これが、良い授業を継続的に行う要諦ではないかと考えています。

 とはいえ、生徒が緊張し過ぎていると、それはそれで、良い雰囲気は生まれません。ですので、そのさじ加減が難しいところではあります。

 生徒が緊張して硬くなり過ぎている時は、多少、和ませることも必要ではありましょう。とはいえ、あまり馴れ馴れしく接さない方がいいでしょう。

 教師が友達に話しかけるような口調で生徒に話しかけると、生徒も同じような口調で返してくるようになります。

 そうすると、いつしか教師と生徒の間の距離が縮まり過ぎて、良い意味での緊張感が失われてしまいます。

 一旦こうなってしまうと、そこから距離をとるのは難しくなります。そうなると、教室にだらけたムードが漂い始めます。

 そうすると、段々、生徒は教師の言うことを聞かなくなります。こうなると、統制が取れなくなり、授業運営が非常に難しくなります。

 そうならないよう、常に生徒とは、適度な距離を保っておくことが重要です。その方策として、授業では、子供相手であっても敬語で話すようにしています。

 授業で、子供に敬語で話しかけることの効果は他にもあります。それは、子供を大人扱いすることで、自身の言動に自覚を持たせることができる、という点です。

 多くの子供は、子供でありながら、子供扱いされるのを嫌います。大人に見られたい。成熟した人間に見られたい。また、そう扱われたい、と思っています。

 こうした心理をうまく利用するのです。大人に話しかけるのと同じように、子供にも話しかける。それにより、彼らは「大人扱いされている」と感じます。

 そうすると、自ずと大人的な言動をとるようになります。授業でもきちんと前を向いてこちらの話を聞いたり、敬語で質問したりするようになります。

 こうなると、教師としては、授業を進めやすくなります。また、生徒も学びが多いと感じて、授業における満足度が高くなります。

 授業中、子供相手であっても敬語で話しかける。もちろん、これは「絶対にそうしなければならない」というものではありません。

 先生によって、色んなやり方や考え方があると思いますので、ここは先生次第です。ここで述べたことは、あくまでも私の考え方です。さて先生は、どうお考えでしょうか?

(以上)

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