英語教師が心得ておきたい英文添削の留意点(manyとmuchの使い方)


 日本人英語学習者が、英語のライティングに取り組む際、犯しやすいエラーが幾つかあります。

 日本人英語講師の先生方が、生徒の書いた「composition」(英語の作文)を添削する際、その点を抑えておくと、指導がしやすくなります。

 例えば、生徒が書く英文で、こういったものがあります。

「My sister likes reading, so she has many books.」

 この文の意味は、「私の姉は読書が好きなので、たくさんの本を持っています」です。一見、何の違和感もないように思えます。

 実際、この英文、文法的に間違っている訳ではありません。ただ、語法的にやや不自然な部分があります。

 具体的には、「many」の使い方です。「many」という形容詞を肯定文で用いる場合、通常、「so」や「too」といった強意の副詞を伴います。

 例えば、「There are so many books in this bookstore that I cannot find the book that I want.」といった具合です。

 この文の意味は、「この書店には、あまりにも多くの本があるので、私が欲しい本を見つけることができない」です。

 では、先に挙げた、生徒が書いた英文については、どう添削すればいいのか。単に「たくさんの本」と言いたいのであれば、「many」の代わりに「a lot of」を使うのが妥当です。

 「My sister likes reading, so she has a lot of books.」という文。これなら、不自然ではありません。

 「a lot of」の他、「lots of」や「plenty of」、「a large number of」などがあります。尚、「a number of」は、「多くの」というより「幾らかの」といった意味です。

 ですので、「a number of」は「some」や「several」の意味合いで使われることが多いです。「多くの」という意味で使う場合は、「large」や「good」を「number」の前に置きます。

 「My sister likes reading, so she has a large number of books.」といった具合です。「a large number of」は「a lot of」と同義ですが、用法が若干異なります。

 「a large number of」を教えた後、生徒が次の英文を書いてきたことがあります。

「I spent a large number of time on my homework yesterday.」

 この文の意味は、「私は昨日、宿題に多くの時間を費やした」です。「多くの」という意味で、前に教えた「a large number of」を使ってきたのです。

 習ったことをすぐに使う。この積極姿勢は買いたいところです。しかし、文法的には「エラー」となります。

 と言いますのも、「a large number of」の後には可算名詞の複数形が来る、というルールがあるからです。

 上の文では、「a large number of」の後に「time」という不可算名詞が来ています。よって、ここでは「a large number of」は使えません。

 ですので、「a large number of」の上に横線を引き、代わりに赤で「a lot of」と書き加える必要があります。

 「a lot of」は、後に可算名詞(複数形)、不可算名詞(単数形)の両方をとることができます。

 この解説をした際、生徒から「muchはダメですか?」と聞かれたことがあります。つまり、「I spent much time on my homework yesterday.」はダメなのか、という質問です。

 これ、文法的には「可」です。ただ、冒頭で取り上げた「many」と同じで、肯定文で用いる場合は、通常、「much」の前に「so」や「too」といった強意の副詞を置きます。

 ですので、「much」を使う場合は、「so」や「too」を伴って、やや否定的な意味を持つ文になります。

 例えば、「宿題に時間をかけ過ぎたので、昨日は寝るのが遅くなった」(I spent so much time on my homework that I went to bed late yesterday.)といった具合です。

 単純に「多くの時間」と言いたい場合は、「much time」ではなく「a lot of time」や「plenty of time」を用いるのが適当です。

 このように、「多くの」という意味の形容詞「many」や「much」は、生徒が書いた英語の作文では、よく登場します。

 その際、単純に「多くの」という意味で、それらを使っていることが多く、副詞を付けずに、肯定文で用いることが、よくあります。

 「many」や「much」のような平易な単語ほど、わざわざ辞書を引いて、その用法を細かくチェックしようとはしない分、誤用が起きやすいと言えます。

 それだけに、「many」と「much」の使い方は、我々英語講師が、生徒の書いた作文を添削する際の「要注意項目」と言えます。

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