アカデミックライティングで「I」の使用は避けるべきか?


 エッセイやレポート、論文等、アカデミックライティングでの「I」の使用は避けるべきか?この問いに対する私の答えは「必要に応じて使用すべき」というものです。「積極的に使え」ではなく、「I」の使用が妥当だと判断される場面では使ってもいい、ということです。

 この「I」の使用については、これまで専門家の間でも議論が分かれてきました。私は20代前半(1990年代)、アメリカのカレッジに留学していたのですが、その当時は、エッセイ(小論文)やレポート等での「I」は敬遠される嫌いがありました。

 実際、私が書いたエッセイをTutor「個別指導の教官」に添削を依頼すると、「I」から始まる文には、ほとんど「赤」が入り、受動態や別の表現に直されることが多かったのです。時には、「I」の代わりに、「One」の使用を薦められたこともありました。

 それから20年近くが経過した2013年、私が40歳の時に、英国大学院に留学しました。その時もやはり多くのレポートやコースワーク、論文などが課されましたが、担当教官は「I」の使用をむしろ奨励していたのです。

 「無理して自分を隠す必要はない」と。「I」が相当な場面で、「I」の使用を避けるために、わざと受動態を用いたりするのは、かえって不自然だと言うのです。こう言っていたのは、TESOL(英語教授法修士)の教授ですから、信憑性は高いと言えましょう。

 私も基本的には、この教官のスタンスと同じです。無理して身を隠す必要はない。但し、「I」から始まる文ばかりになると、diary「日記」やjournal「日誌」のようになってしまうので、「I」の連用は避け、「必要に応じて適宜用いる」といった判断が必要です。

 「I」を使った方がいい場面は、例えば筆者自身がインタビューを行った時など。この時はI interviewed ~.という具合に、「I」を出すべきでしょう。ここで、「I」を隠して受動態を用いると、誰がインタビューしたのかが不明で、情報不足と受け取られかねません。

 逆に、I think~.など、エビデンスがなく、個人的な感想を述べるような文は、レポートや論文では、あまり相応しくありません。この場合は、It is said that~「~だと言われている」とか、Some people say that~「~だと言う人もいる」といった表現の方が無難です。

 如何でしたか?「オンライン英語教室のUB English」の「英文ライティング添削」では、今回取り上げた「I」の使用やその代用表現に関することなど、英文を書く時に生じる様々な疑問にお答えし、よりよい英文が書けるようサポート致します。お気軽にお問合せ下さい。