英語教員は英語の授業で文法用語の使用は避けるべきか?


 英語教員の先生方からのよくあるご質問の一つに、「英語の授業で文法用語の使用は避けるべきか?」というものがあります。この問いに対する私の回答は、「適宜、用いるべき」というものです。本項では、この件を論じてみたいと思います。

 そもそも、この質問をされる英語教員の先生方は、「英語の授業で文法用語は使わない方がいいのではないか」と思っておられるようです。実際、私は、この質問をしてこられた先生に、「先生はどう思われますか?」と尋ねたことがあります。

 そうすると、「いや~、(英語の授業で文法用語を)あんまり使っちゃいけないのかなぁと思って・・・」と仰います。そこで、その理由を尋ねると、「生徒が混乱するのではないかと思うから」とのこと。

 確かに、「これはbe動詞の補語」だの「これは関係代名詞の非制限用法」だのと言われると、「英語アレルギー」を発症する生徒もいるかもしれません。ですので、文法用語の過度な使用は控えるべきでしょう。

 とはいえ、「文法用語を一切使わず授業をせよ!」と言われると、英語教師にとっては、結構しんどいはずです。そもそも「説明」というのは、「話し手」と「聞き手」の間で、ある程度の共通認識がなされて、はじめて成立するものです。

 例えば、パソコンの操作方法を説明する際にも、「話し手」は「このアイコンを右クリックして」といった言葉を用います。この時、「アイコン」や「クリック」といった用語の意味を「聞き手」が理解している必要があります。そこではじめて説明が成り立ちます。

 もし、こうした用語の知識が一切なければ、それをまた描写したり、説明したりしなくてはなりません。それでは非効率なので、代わりに「用語」を使うようになったのです。

 英文法の説明にも、これと同じことが言えます。「目的語」や「補語」という「用語」を使うことで、「他動詞の後に続く名詞」といった長ったらしい描写をせずに済むのです。つまり、文法用語は、英語の授業の効率化に寄与するものだと言えます。だから、英語の授業で文法用語は「適宜、用いるべき」だと、私は考えます。

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