英語教師のための「例文出し」トレーニング①(所有格の関係代名詞whose)


 日本人英語教師の授業において、英文法の指導は欠かせません。そして、英文法を指導する際、定義の説明だけでは理解を得にくいことから、例文を出す機会がよくあります。

 その時、瞬時に気の利いた例文を出せるどうか。ここは、英語教師の腕の見せ所でもあり、その後の授業展開がスムーズに行くかどうかの鍵を握っているとも言えます。

 例えば、関係代名詞を教える時、関係代名詞には3つの格があることを教えます。主格、所有格、目的格の3つです。

 このうち、主格と目的格は、先行詞によって使う関係代名詞が異なります(*thatを除く)。しかし、所有格については、先行詞に関係なくwhoseです。

 この時、「(関係代名詞の)所有格は(先行詞に関係なく)whoseです」といった定義の説明だけだと、恐らく生徒はイメージがつかめず、理解を深めることは難しいでしょう。

 生徒がキョトンとした表情を浮かべている。そこで「例えば・・・」と切り出し、具体例が瞬時に出せるといいですよね。さて、先生なら、どんな例文を思い付きますか?

 例文を出す時のポイント。それは、状況設定を明確にすることです。それにより、例文を見た生徒は、ターゲットとする文法項目を使用する場面をイメージしやすくなります。

 また、例は「会話文」の方が、状況をよりイメージしやすくなります。以下に例(会話文)を挙げます。

(状況設定)

会社の同僚同士が、事務所近くの食堂で、ランチを摂りながら話をしている。Aは前日、パブで隣に居合わせた客と、スポーツ中継を見ながらおしゃべりをしていた。その時の内容を同僚のBに伝えている。

(例文)

A: Last night at a pub I chatted with a man whose son had won a gold medal at the Olympics.

B: Oh, what’s his name?

(訳文)

A: 昨日の夜、パブで、息子がオリンピックで金メダルを獲ったっていう人と喋ったよ。

B: え、その人の名前は?

 如何でしょうか。このように、状況設定が明確である方が、(所有格の関係代名詞whoseを)使う場面をイメージしやすいのではないでしょうか。

 こうして、例文を示した上で、whoseの用法(構造)を説明すると、生徒はより理解しやすいはずです。

 所有格の関係代名詞whoseは、前後に名詞があることが一番のポイントです。加えて、後の名詞の次に動詞が続きます。以下に「型」を挙げます。

<所有格の関係代名詞whoseの型>

「N1 whose N2 V」(N2がVするN1)

 例文を見ると、まさにこの「型」に当てはまっていることがわかります。

a man whose son had won~

(*man=N1、son=N2、had won=V)

 ここで、ターゲットとする文法項目の説明の手順をまとめます。

<文法説明の手順>

①ターゲット文法項目の定義を説明する

②状況設定を明確にした上で例文を出す

③出した例を見せながら「型」を教える

 このうち最も難度が高いのは②です。①は、文法の参考書に載っていることを丸暗記すれば、ある程度、形になります。また③は、②ができれば容易に示すことができます。

 つまり、②を上手にできるかどうかが、ポイントです。これには、相応のトレーニングが必要です。

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