英語教師が心得ておきたい英文添削の留意点③(点数の獲れる作文とは?)


 生徒が書いたessayを添削していますと、一つの段落の中に、複数のアイデアが含まれていることがあります。

 これは、essayの鉄則(1段落1テーマ)に反します。あくまでも、一つの段落では、一つのアイデアを踏襲しなくてはなりません。

 通常のessayは、4~5段落構成です。5段落構成の場合の内訳は、①Introduction(導入)、②③④Body(主要部)、⑤Conclusion(結論)です。

 Bodyに含めるべきものは、①Topic sentence(要旨説明文)、②Reason & Example(理由と具体例)、③Small Conclusion(当該段落の締め)です。

 ①Topic sentenceは、その段落で、最も主張したい内容です。そして、それをサポートする理由や具体例を次のsentenceで述べ、段落の中身を濃くします。

 例えば、essayのお題が、「Some people say that most university students in Japan do not study enough. Do you agree?」だとします。

 このお題の意味は、「日本の多くの大学生は、十分に勉強していないと言う人がいますが、あなたは同意しますか?」です。

 このお題に対し、Introductionで、「I agree with the statement that most university students in Japan do not study enough.」と、同意を表明したとします。

 そして、Bodyでは、その理由を述べていきます。以下に、例を挙げます。

(例)First of all, many of the university students in Japan have to work part-time. The reason why they have to work part-time is that university has high tuition fees. Because they spend a lot of time on their part-time job, they cannot afford the time to study.

 この段落の意味は、「第一に、日本の大学生の多くは、アルバイトをしなくてはなりません。彼らがアルバイトをしなくてはならない理由は、大学の学費が高いからです。彼らは多くの時間をアルバイトに費やすので、勉強の時間が取れません」です。

 これは、essayにおけるbodyの典型的な構成です。①Topic sentence、②Reason、③Small Conclusionを含んでいます。

 ここで終わればすっきりするのですが、この後、更に文を追加して、段落を大きくする生徒がいます。恐らく、規定のワード数を気にしてのことだと思います。

 例えば、以下のような追加が見られます。

(例)I think that the government should give some financial support to the students who have difficulty paying tuition fees. This will allow them to study more because they will not have to spend so much time working part-time.

 この追加分の意味は、「私は、政府が、学費の支払いが困難な学生に、財政支援をすべきだと思います。こうすれば、彼らは、アルバイトにそんなに多くの時間をかけなくて済むようになるので、もっと勉強できるようになります」です。

 この追加分、内容自体は、もっともな見解です。しかし、これは、筆者の考えるソリューション(提案)であって、本題とはややずれてしまっています。

 本題は、あくまでも、「日本の多くの大学生は、十分に勉強していない」という意見に賛同する理由です。

 もし本題が、「日本の大学生に、もっと勉強させるにはどうすればいいか?」であれば、先のソリューションは、有効です。

 これを書いた生徒は、もしかすると「よく書けた!」といった手応えを感じているかもしれません。

 しかし、厳しい言い方をすれば、これは「自己満足の作文」になってしまっています。つまり、「点数を獲れる作文」ではない、ということです。

 英検やTOEFL、IELTSといった資格試験などのwriting testでessayを書く場合、当然ながら「点数を獲れる作文」を書かなくてはなりません。

 この点を、添削者である我々英語教師は、常に意識しておかねばなりません。そうでないと、「生徒が書きたい作文」を書かせてしまうことになってしまうからです。

 繰り返しますが、essayでは、「一つのbodyにつき、含めるのは一つのアイデアである」という鉄則があります。

 この鉄則をしっかりと守らせる必要があります。「ただ思いついたことを書けばいいというものではない」ということを折に触れ指導する必要があります。

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