定型句の習得のために開発された「パターンプラクティス」という古典的な外国語のティーチングメソッドがあります。これはかつて米軍が兵士に外国語をマスターさせるために活用された「オーディオ・リンガル・メソッド」の一つです。
「パターンプラクティス」とは、例えば「S be going to V」が対象項目だとすると、SとVの語句だけを変え、何度も繰り返し言わせるというものです。「I’m going to stay home tonight.」、「You are going to visit your friend.」・・・といった具合に。
この「パターンプラクティス」、期待した程の効果が上がらず、軍の外国語教育では廃れてしまったようです。しかし、日本を始め、非英語圏の国々では、長く使われたメソッドです。今でもそれに近い指導方法を採用している先生もおられるかと思います。ただ、日本では、2000年頃から「コミュニカティブ」が重視されるようになり、「文法訳読式」の授業に批判的な見方が集まるようになりました。同時に、「パターンプラクティス」も「古いやり方」ということで切り捨てられてしまいました。
しかし、ティーチングメソッドにおいては、日々新たなものが開発されていて、新しいもの全てが有効とは限りません。同時に、古いものが全てダメという訳でもありません。むしろ、それぞれのメソッドの特徴と有効性を十分に吟味する必要があります。
「パターンプラクティス」においても、役に立たないメソッドかと言うと、決してそうではないと私は考えます。米軍が「(パターンプラクティスは)効果がない」と断じたのは、恐らくそのメソッドだけで外国語を習得させようとしたからではないかと思います。
「パターンプラクティス」の欠点は「状況設定がない」という点です。現代の多くの教科書には、本文(会話文)があり、その中に対象となる文法項目が埋め込まれています。文法はあくまでも暗示的に指導するというのが最近の主流です。
状況設定を明確にすることで、対象となる文法項目の使用場面を学習者はイメージしやすくなります。その上で、文法の解説を明示的に加え、最後にその「型」の習得を目的とした「パターンプラクティス」を採り入れる。これなら、有効に機能するはずです。
このように、「廃れたメソッド」であっても、使い方次第では、有効に機能し得ると私は考えます。「オンライン英語教室のUB English」の「Teacher trainingコース」では、ティーチングメソッドをcriticalな視点でその有効性を分析し、授業で適切に使用するためのトレーニングを行っております。ご興味お持ちの英語教員の先生方、まずはお気軽にお問合せ下さい。