英文は前から読むべきか、後ろから読むべきか?


 「英文は前から読みこなしなさい」という英語教師がいる一方、「英語は後置修飾が多いので、後ろから訳しなさい」という英語教師がいる。生徒からすると、「いったいどっちが正しいの?」ということになりましょう。本項は、この件を論じてみたいと思います。

 上記2つの見解。実は「相反するものではなく両方正しい」というのが私の見解です。まず、英文の内容把握。これは、前から読んで意味をとっていく方がいいでしょう。一方、日本語らしい文に訳すとなると、後ろから前に戻る形を取る方がいいでしょう。

 先に挙げた「英語は後置修飾が多い」という見解。「後置修飾」とは、文字通り修飾句を被修飾句の後ろに置くというものです。例えば、I saw a man with a baseball cap.という文。with a baseball cap「野球帽をかぶった」が修飾句で、man「男性」が被修飾語です。

 日本語では、「野球帽をかぶった男性」という語順で、前置修飾をとります。ですので、英語を日本語に訳す時は、修飾語(句)と被修飾語の語順を入れ替える必要があります。だから、英語を日本語らしい文で訳す時は、後ろから前に戻る形を取る方がいいのです。

 英語の語順のまま訳すとなると、「私はある男性を見ました、野球帽をかぶった」となります。もちろん、意味は通じますが、日本語の語順に則った訳ではありません。ですので、「英文の意味をとる時は前から、でも訳す時は後ろから」がいいのです。

 英語は、まず主旨(行為)を伝えることに比重が置かれます。先の例文では、「私は男性を見た」というのが主旨です。「誰が何をしたか」という「行為」が最も重要な情報なので、それを先に伝える。その上で、どんな男性なのかを後で付け加えるという手法です。

 一方、日本語は「どんな男性か」という中身に関する情報を重視します。だから「野球帽をかぶった男性」と、修飾句を先に述べます。実際、「私は男性を見た」と聞いた時、「どんな男性?」って思いますよね。つまり、日本人にとっては「中身」が大事だということです。

 こうした日本語と英語の「言語の違い」を理解した上で、英文読解に臨む必要があります。ですので、「articleの意味や主旨をとる時は前から、日本語に訳す時は後ろから」を基本とします。つまり、用途に応じた使い分けが必要だということです。

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