「a」と「the」の違い


 「英文ライティング添削」の授業を担当していると、「冠詞」(aとthe)の使い方の誤りを指摘するケースがしばしばあります。そもそも日本語には「冠詞」という明確な概念がないだけに、日本人英語学習者が最も習得に苦労する文法項目の一つと言えます。

 それでも、ライティングの時など、aとtheの使い分けがきちんとできないと困るケースがあります。そこで、本項では、aとtheの違いをざっくりと説明したいと思います。日本人にとって、区別しやすい方法を論じて参ります。

 「冠詞」の中にも種類があり、大きくは二種類あります。「不定冠詞」と「定冠詞」です。つまり、不特定多数の中のある一つを取り出したものに対しては、不定冠詞のaを付け、特定のもの(唯一無二のもの)には、定冠詞のtheを付けます。

 では、ここで会話の用例を挙げてみましょう。

A: I bought a new dictionary yesterday.「私は昨日、ある新しい辞書を買いました」

B: Oh, did you? How do you like the new dictionary?「そうなの?その新しい辞書はどう?」

A: The new dictionary is very useful.「その新しいはとても役に立ちます」

 この用例を見て、「ん?なんか変だな」と思いませんでしたか?そう、変なのです。何が変かと言うと、dictionaryという同じ名詞が繰り返し使われている点です。普通なら、the new dictionaryを代名詞itに置き換えますよね。つまり、theの正体はitに置き換えられるもの、ということです。

 逆に、a new dictionaryをitに置き換えるとどうなるか。会話の相手がいきなり「私は昨日、それを買いました」と言い出すと、「それって何?」って思いますよね。つまり、aは先にも述べたように不特定のものにつけるものなので、itへの置き換えが不可なのです。

 次に、先の用例の日本語訳を見て下さい。「新しい辞書」の前に「ある」と「その」という言葉が付いていますよね。英語の冠詞を敢えて日本語に訳すとすれば、a=「ある」、the=「その」となります。ですので、aかtheかで迷った時には、「ある」又は「その」を対象となる名詞の前に付けてみて、どちらが自然かを考えるといいでしょう。

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